眠れないほど好き

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ふたりともが無言で歩き、気づくと会社のまえまで戻っていた。 往きを案内しただけで復路を迷うことなくたどり着けるあたり、妙に感心した。 唐沢はそのまま通りすぎ、ちょっとさきのマンションに入った。 こっちにいる間、唐沢が借りているマンションだ。 何度か頼まれた私物を調達して持っていったことがある。 唐沢は二階まで階段を上り、部屋のまえで立ち止まった。 「唐沢代行、何か入り用ですか!?」 さすがに不安になって訊ねた声は不自然に大きくなった。 「必要なのは市羽さん、て云ったら?」
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