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「何でこんな素敵な話をママのいる前でしようとするのよ……」
嬉しいけどなんだか恥ずかしくて、私は聡介の腕をぱしんと叩いた。
「だって、俺は莉乃ママがどれだけ莉乃を大事にしてきたか知ってるもん。
ママにもこれからは俺に任せてください、って胸張って言ってあげたいじゃん」
「2人の部屋なのに勝手に決めてきて…」
「それはごめん。
でも、どうしてもビッグサプライズしたかったから。
あの時以来そーゆーのなかっただろ?」
あの時というのは、初めて会ったときの大ジャンプのことだろう。
確かにあれ以上の衝撃はなかった。
今日までは。
「莉乃を迎え入れるお城だけはどうしても俺一人で用意したくて、隠れて色々やるのも大変だった……」
初めて聡介から甘えるように私に凭れかかってくる。
私は両手を広げて聡介を抱き締めてあげた。
「もしかして、今年滑りに行かないって言ったのもそのせい?」
「ああ……、忙しいのも本当だけどお金が苦しくて。
初ボーナス敷金と礼金に使っちゃった…」
「そうだと思った。
ねえ、これから私も一生懸命お給料貯金するよ。
だから、春までに1回だけ一緒に滑りに行かない?」
「行く」
私の胸に顔を擦り寄せながら即答する聡介をもっとぎゅっと抱き締めた。
聡介は、私だけのサンタクロース。
もう絶対に離さない。
ーーーENDーーー
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