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「皐月~、まだ?」
借切り露天風呂付きの個室。
先に入った牧田から、何度目かの催促。
「…あ、うん。今行くとこ。」
ガラッと扉を開けると、一瞬身を凍えさすような冷たい空気の中、蜃気楼のように浮かびあがる檜の露天風呂。
フラフラと湯気に誘われるように、バスタオルを巻いた身体で歩み寄ると、
「おそっ。」
しかめっ面の牧田の顔。
濡れた毛先が後ろに流れて、黙っていればいい男なのに。
そこが残念で、
でも、決めきらないそこがまた好き。
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