りぃちゃんへ

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あー、もうヤダ。 なんだって自分の誕生日にこんな大変な目に遭わ なきゃいけないのよ。 週末だって、どこかご飯くらい食べに連れて行ってくれるかと思ったのにアイツはパチンコに草野 球。 その上、私の足である自転車はパンクするしっ。 そんな日に限って何でこんなに買い込んでんのよ 私っ。 両手を塞ぐ袋が恨めしい。 この上り坂もなんとかなんないのかしらねっ。 この怒りの矛先をどこに向けたら良いのか分から ず、1人で延々と愚痴り続けていた。 神様はそんな私を見かねたのか、更なる嫌がらせを高じてきた。 右手に持った袋から何か違和感が…… あれ、店を出た時より軽くない? ふっと右手を持ち上げて見た。 「何これっ!?」 そこにはざっくりと裂かれた袋。 右手が通り過ぎてきたであろう道筋を振り返っ た…… ギャーーーーッ 点々と続く食材の数々。 どこから落ちてたのよっ。 その瞬間にも林檎が猛スピードで坂を転がって いった。
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