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あの方は…ため息をひとつ付いて、
「ちょっと二人で話をさせてくれるか?」
そう言うと、
あの方のお着きの人と笹本が事務所を出た。
ひとつお辞儀をして。
これ…
ソファーに座り直したあの方が、ハンドバッグから封書を出してテーブルに置いた。
宛名には
青山 美郷 様
裏返すと差出人
青山 勝
父さんからの手紙。
と言うことはこの人が青山美郷?
俺の知ってる名前じゃない。
どういうことなんだ?
「勝は私の一番下の弟。
あんたは私の甥っ子と言うことだ。
父は…
まあ、財界を裏で牛耳る、名乗ると誰でも知ってるような人間だった。
もうあの世だけど。
手紙が来てたことは知らなかった。
私も結婚して家を出てたからね…
父が亡くなって金庫の中で見つけたときには、
勝はもう…亡くなってた…」
冷めてしまったコーヒーを、
一口飲む。
「一生名乗ることはないと思ってたんだ。
でも、
手紙を読んでしまったから。
調べるとあんな生活を送ってるあんたを見つけて…
人並みの生活をさせてやることが、
勝への供養になると思ってしまった」
この人が…俺と血の繋がりのある…叔母?
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