番外編

8/42
680人が本棚に入れています
本棚に追加
/169ページ
目を覚ました僕はすっきりしていた。外はもう明るくて、夕飯も食べずに夜通し寝てしまったらしい。 いつも隣で寝ているグレンもいなくて温もりもない。昨夜一緒に寝たのかも分からず、何となく気まずい気持ちを抱えたままベッドを降りた。 時間を確認するともう9時で、グレンはとっくに仕事へ出掛けてる時間だ。 そおっと部屋のドアを開けて廊下を窺う。何の音もなく静かな廊下があるだけ。 ちょっとだけドキドキする胸を抑えて深呼吸。ゆっくり歩いて広間へ向かった。 「良い匂い」 甘い匂いが鼻腔を掠め、途端にグゥっと鳴るお腹。誰もいない広間を抜けてダイニングスペースに入るとテーブルの上にはホットケーキが用意されている。 「ジム?」 キョロキョロと周りを見渡すもジムの姿はない。 とりあえず腹越しらへと席についたとき、書き置きが目に留まった。 「何だ、ジムも出掛けたんだ」 昼間には帰ることと、ホットケーキを食べろということだけが書かれているメモを読み、それを端に置いて早速ホットケーキにシロップをかけて食べ始める。
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!