第二話

4/11
646人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
Side.秀 「何を考えているんだ。お前は」 浩介を帰して、自分も寮に帰ろうと支度をしていると真崎がそう訪ねて来た。 賭けの事は話してある。 何でこう聞いてくるかも。 俺がどれだけ浩介に執着しているかが、真崎には分かるからだ。 「別に。ただ、俺が居ない間に勝手な事をされても嫌だからかな。全寮制なら自由は制限されるし、監視もしやすい」 「…結局それか」 「結局も何も、浩介の居場所なんて俺の所しかないんだよ。それにこの賭けは浩介が負ける。あそこは学力は良い学園だけど狂っている学園だからね。浩介は絶対に負けを宣言する」 「なんで言い切れる。本当に卒業したら、石川を手放すのか」 その言葉に、ピタッと行動を止める。 手放す…か。 笑えるね。 手放すはずないだろ。浩介は俺のなのだから。 「真崎、いい加減その口閉じないと怒るよ」 「………」 「あと、必要以上に浩介に関わるな。殺したくなる」 例え、俺を理解し、傍に居る人間だとしても。 黙り込む真崎を通り過ぎて玄関で待っている車に乗り込む。 真崎も俺の執事だ。黙ってしまったけれどちゃんと見送りをする。 「真崎。浩介の行動ちゃんと報告してよ」 「…了解した」 浩介は負ける。 俺が勝つ。 あそこは腐っている。 浩介の兄の様な奴ばかりだ。 浩介のあの性格じゃ反感を買うだろう。 けれど、俺みたいのも居る時もある。 稀に。 もしかしたら、"あいつ"がそれかもしれない。 学園に居る間は口を出すのをやめるが、賭けが終わった後存分に。 "あいつ"に浩介を見せるのは癪だが、そこは我慢をしよう。 この賭けにおいて、必要な人物に等しい。 浩介には可哀想な思いをさせるが、思い知ればいい。 居場所がどこなのか。 誰の物なのか。 逃げたいと思わない様にするための準備だ。 「それまで、俺も我慢してあげるよ。浩介」 俺の運命の相手。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!