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Side.秀
「何を考えているんだ。お前は」
浩介を帰して、自分も寮に帰ろうと支度をしていると真崎がそう訪ねて来た。
賭けの事は話してある。
何でこう聞いてくるかも。
俺がどれだけ浩介に執着しているかが、真崎には分かるからだ。
「別に。ただ、俺が居ない間に勝手な事をされても嫌だからかな。全寮制なら自由は制限されるし、監視もしやすい」
「…結局それか」
「結局も何も、浩介の居場所なんて俺の所しかないんだよ。それにこの賭けは浩介が負ける。あそこは学力は良い学園だけど狂っている学園だからね。浩介は絶対に負けを宣言する」
「なんで言い切れる。本当に卒業したら、石川を手放すのか」
その言葉に、ピタッと行動を止める。
手放す…か。
笑えるね。
手放すはずないだろ。浩介は俺のなのだから。
「真崎、いい加減その口閉じないと怒るよ」
「………」
「あと、必要以上に浩介に関わるな。殺したくなる」
例え、俺を理解し、傍に居る人間だとしても。
黙り込む真崎を通り過ぎて玄関で待っている車に乗り込む。
真崎も俺の執事だ。黙ってしまったけれどちゃんと見送りをする。
「真崎。浩介の行動ちゃんと報告してよ」
「…了解した」
浩介は負ける。
俺が勝つ。
あそこは腐っている。
浩介の兄の様な奴ばかりだ。
浩介のあの性格じゃ反感を買うだろう。
けれど、俺みたいのも居る時もある。
稀に。
もしかしたら、"あいつ"がそれかもしれない。
学園に居る間は口を出すのをやめるが、賭けが終わった後存分に。
"あいつ"に浩介を見せるのは癪だが、そこは我慢をしよう。
この賭けにおいて、必要な人物に等しい。
浩介には可哀想な思いをさせるが、思い知ればいい。
居場所がどこなのか。
誰の物なのか。
逃げたいと思わない様にするための準備だ。
「それまで、俺も我慢してあげるよ。浩介」
俺の運命の相手。
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