◇戻れない道◆

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お金がどれだけかかってもいい。家に帰ろう。 タクシーをここに呼んでもらおう。 早くここから脱したい一心で足早で廊下を歩いている時、 「舞ちゃん…?」 後方から声をかけられて立ち止まり、ふり向くと鈴木先輩と笹田先輩がいた。 格好から察するに、これから温泉へ行こうとしている感じ。 「カバン持って、こんな時間にどこ行くの?」 「…………」 笹田先輩の問いかけに答えられず、目も合わせられない。 「……鈴木、悪い、先に行ってて」 両先輩は私の異変をすぐに見て取ったようだった。 「ああ」 鈴木先輩は一人、立ち去って。 笹田先輩は二歩程私の方へ近づいた。
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