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アフターデイズ
「麻海。」
自分を呼ぶ声がする。
見慣れないブレザーを見にまとい、真新しい鞄を提げている自慢の彼氏、一だ。
「一!」
名前を呼ばれた麻海は一の名前を呼ぶとそばに駆け寄る。
「ごめん、遅くなって…。」
「平気。ブレザー似合うね!カッコイイ♪」
「そう?でも変な感じ…。」
「カッコイイからイィのよ!」
去年の夏休みから付き合いはじめて、約7ヶ月。
デートは数えるくらいしか行っていないが、お互いを知るには十分な時間だった。
「行こうか。」
一は優しく微笑むと麻海の手をとる。
7ヶ月前には考えられない行動だ。
「うん!」
お互いを知っていくうちに、麻海は呼び方を一先輩から一にかえ、口調も敬語からタメ語にかえた。
一方一の方も麻海と名前で呼ぶようにした。
麻海の元気さは一を助け、一の優しさは麻海を安心させた。
これほどにうまくいっているカップルはおそらく世界にも数えるほどしかいないだろう。
「映画なんて久しぶり。」
今日の目的地は映画館。
麻海のコレ見たい発言から今日の企画は出来た。
「絶対面白いから楽しみにしといて!」
「うん、しとく。」
一はニコッと微笑む。
麻海以外には見せない笑顔だった。
笑ってもらうたびに大好きだよ、と伝えてくれているようで、麻海は一の笑顔をずっと見ていたいと感じた。
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