忘れるために

17/18
566人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
服の上から撫でていた手が、いつの間にか服の中に入ってきて、 「あつ、しくん?」 「やっぱり、抱きてぇ」 そう言って、手早く下着のホックを外した。 『理彩がいいって言うまで、手は出さねぇ』 こんな口約束なんて、理性を失ってしまえば意味がないんだ。 篤史くんと前へ進んだら、蕾斗さんのことを忘れられるかもしれないって思った。 けれど、忘れるために前へ進むなんて…… 忘れるために抱かれるなんて…… そんなんでいいの? そんなことを考えている間にも、篤史くんはあたしの服を脱がせ始めていて。 いつの間にか上半身は身に纏うものがなくなっていて、篤史くんの唇がやさしく肌の上を滑っていく。 「あつ、しくんっ」 気付いたら、あたしは生まれたままの姿になっていた。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!