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髪は濡らさずにシャワーを浴びて、軽く化粧をする。
部屋に戻ると、高級そうなドレープカーテンの隙間から、早朝らしい爽やかな日差しが少し零れていた。
ちょっとした出来心で、その日差しを浴びている寝顔を覗き込む。
キレーな寝顔。
目を閉じていると、元から整っている顔は、ますます整っていて。
「……ありがと」
何も言うつもりはなかったのに、そんな言葉が口からこぼれた。
前髪が目にかかっていて、それを払うと、手首を不意に掴まれて、心臓が大きく跳ねた。
「……ねぇ、ヤリ逃げ?」
その声と一緒に、開いた目。
その黒色の目は、私を真っ直ぐ捕らえた。
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