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「ありがとう。君に会いに来て良かった。……君に会えて、本当に良かった」
私の涙でぐちゃぐちゃの顔を見て、目を細めて笑う。
その顔を焼き付きたいのに、どんどん涙が溢れてくるせいで、ぼやけてしまう。
大きな手に両頬を包まれたあと、唇にほんの一瞬だけ、温もりがかすった。
「--理沙、さよなら」
初めて呼ばれた名前は、優しくて、とても愛しくて。
そして、どうしようもなく痛かった。
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