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「秋本さんは、普段何してるんですか?」 ぼーっとしながらもごもごと口を動かしていると、隣から唐突な質問が飛んできた。 隣の木手に目をやると、野菜ジュースをすすりながらこちらを見ている。そんなストローを加える姿が少し可愛らしく見えてしまい、秋本は再びガラスの向こうに視線を戻した。 そこでふと、返す言葉が無いことに気付く。 普段、と言われても学校に行くこと以外特に何もしていないのだ。少し日にちを遡ればその登校すらしていなかったのだが、自分がその間何をしていたのかがさっぱりわからない。 「……学校……とか?」 「……それは知ってます」 木手の無表情は、時として相手に圧迫感を与える凶器になると秋本は思った。伏し目がちに見つめられると、呆れられているように見えなくもない。 まぁ昨日の今日の流れで、そんなことを気にする必要は殆ど無いのかもしれないが。 「趣味とか、聞いてるんですけど」 「あー……読書、とか?」 自分でも、ありきたりな返答をしていると思う。けれど、本が好きなのは本当だ。文学部を選んだのだってそれなりに興味があったからで、決して文系学部ならどこでも良かったわけではない。 そうですか、とそれ以上の反応を示さない木手は、どう思っているのか知らないが。……やっぱり、ありきたりな返答だと思っているのだろうか。
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