約束の裏事情5

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 積み荷に選んだ本にも、すっかり飽きてしまった。  王子は、というと、さっきから海ばかりを見ている。 「退屈ですか、マサシ王子」  声をかけても窓から視線が動かない。  完全に脱力しきっている。 「船で外遊って、こんな暇なんだな」 「何事も起きていない証拠ですから、私はありがたいですけどね」 「タケルは初めてじゃないみたいだな」 「……ええ、教育係としては見聞を広めておかないと」 「男と恋愛とかもしたんだろ?」 「しましたよ」  くるりとこちらを向いた。 「なのに王子は、ダメか?」 「……お戯れを」  二人の間で幾度となく繰り返された会話に、王子はまた、海に視線を戻した。 「……雲が出てきたな」
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