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「……ショッピングモールの人は、結局誰なの?」
「え?」
弾けるように顔を上げる沖田くん。
その沖田くんと目を合わせて、静かに問う。
「その人は沖田くんの彼女なんじゃないの?もしその人がいるのにもかかわらずあたしを好きって言うんなら……」
自分で言っておいて、泣きそうになる。
あたしを好きって言うんなら……。
「……センパイ、分かんなかったんですか?」
「え?」
怪訝そうに眉間にしわを寄せ、沖田くんはあたしを見据える。
「それ、美青さんですよ。福原 美青さん」
「…………へ?」
思いがけない名前に、思わず素っ頓狂な声が出た。
み、美青……?
「……あの日は、たまたま福原さん一家に会って……。翠さんに色々勘違いしてたことを教えてもらったり、美青さんを紹介してもらったりして……。多分センパイが見たのは、翠さんが娘さんを連れてトイレに行ってるじゃないかと……」
「え……え?」
次々明かされる事実に、開いた口が塞がらない。
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