第1章

2/10
5293人が本棚に入れています
本棚に追加
/298ページ
緩やかな朝の光を瞼に感じてゆっくりと目を開ける。 ふかふかのベッド。 素肌を滑るなめらかなシーツの感触。 安心をもたらしてくれる優しい彼の温もり。 もう何度、彼の腕の中で目覚めたんだろうか。 私を後ろから抱え込むように抱きしめて眠る彼を起こさないようにゆっくりと後ろを振り向くと。 そこには愛しい彼の穏やかな寝顔がある。 完璧に甘く整ったその顔は、朝から私の胸を高鳴らせた。 毎日見ていても全然飽きることなく、毎日見ていても今だに私の胸をときめかせる。 その彼の瞳が薄らと開かれる瞬間を見つめるのが大好きで。 サラサラの黒髪にそっと指を絡めてみた。 その時、待ちに待った瞬間が訪れる。 ゆっくり開かれていく瞳が私を捉えると。 「毎日毎日ガン見しながら起こすんじゃねぇよ。」 甘い顔に全く似合わない毒舌で今日も1日が始まるのだった…。
/298ページ

最初のコメントを投稿しよう!