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ガバッと体制を戻して、
「なにそれっ!」
と目を輝かせれば、『こっち見んな』と顔を和希の胸に押し付けられる。
いつもより速い和希の鼓動が私の緊張を煽る。
「いろいろ考えてたんだよ、俺も。お前と初めてでけぇ喧嘩して、何でこんな仕様もねぇ事でお互いイライラすんのかって。」
「うん。」
私も思ったよ。
そのイライラがとても醜いものに思えて、私はここを飛び出したんだもの。
「けどさ、どんだけ考えたところで、結局答えは出なかった。仕方ねぇよ、感情の赴くままにイラつくんだからよ。」
「うん。」
嫉妬や独占欲をどれだけ押さえ込もうと努力して抑える術を考えたところで、確かに答えなんて出る筈ない。
「ただわかったのは、やっぱりお前は誰にも譲れねぇって事だけだった。お前だけは手放せねぇ。例え徹平でも。」
「…うん。」
きっと和希は知ってる。
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