十二怪目。

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「......で、ここからが本題な訳だけど...木葉はねぇ、毎年何あげてもありがとうってにっこり笑って受け取るんだよね...何をあげても同じなんだ...元々物欲のない子だから欲しい物がないっていうのもあるけど...僕は、木葉が貰って嬉しいな!って顔するのが見たいんだ...だから、今までできた事がないから、僕だけの知恵じゃ足りないと思って君達にお願いしたんだけど......どうかなぁ...?」 「...物欲がない、ですか......うーん...欲しい物を考える上で簡単なのは、日頃欲しがってる物をリサーチしておく事なんですが...それは望めそうにないって事ですね...あとは、自分が貰ったら嬉しいものとかすですかね...?」 「...自分が貰ったら嬉しいもの?」 「はい。自分が相手の立場だとして貰って嬉しい物をあげてみる、とかもアリかなとは思うんですけど...俺もたまにするんですけど...いや、友達いないんで家族に対してだけですけど...はは...その、実用的な物とかだと普通に嬉しいじゃないですか...そうじゃないとしても新しい扉が開くかもしれないし...特にお二人は双子な訳ですし、好みが遠からず近からずで合ったりしないかなぁ...なんて安易な考えですみません...」 「なるほど、僕が欲しい物かぁ...考えた事もなかったや。でも、それいいかも!例え木葉が欲しくない物だとしても、僕が好きな物を木葉に知ってもらって興味持ってもらえたら嬉しいしね!よーし、そうと決まったら早速行こう!お金払って次に行かなきゃ!」 「...え、青葉さん!?」 急に立ち上がった青葉さんが忙しなくレジへと向かうので慌ててついていった。 俺達の分も払おうとする青葉さんを止めようとしたが、付き合ってもらうんだからこれくらい僕に払わせて!と言って聞かない青葉さんに根負けし奢ってもらってしまった。 店を出た青葉さんは一直線にどこかへと向かう。...お店のアタリがあるらしい。それにしても、軽い気持ちで言ったけど、青葉さんが欲しい物って何なんだろうか... 青葉さんはわかりやすいようでわかりにくいから、正直何が欲しいのか見当もつかない。 なんて考えながら歩いていて辿り着いたのは... 「ここ、は...」 「.....僕ね...宇宙...っていうか、星が好きなんだ。...そして、これ...その...木葉にも言った事ないんだよね......だから、これを機に知って貰えたら嬉しいな...って...」 「へぇ、そうなんですか...なるほど、それはいいですね。青葉さんが好きな物ならきっと副会長も喜んでくれると思いますよ。...あとは、具体的にどういうものを買うのかですね...」 「.........家庭用の、プラネタリウム」 「......へ?」 ふいに、それまで無言を貫いていた周がそう口にした。俺と青葉さんは揃って周の方を向いた。 漏らしたのは無意識だったのか、軽く舌打ちをしながら周がそっぽを向く。 「...家庭用のプラネタリウムだったら...家でも星が見られるし...一緒に話しながら見りゃ盛り上がんだろ。それに、そんなに高くねえしな...って思ったんだよ。...んだよ、こっち見んな殺すぞ」 「......周......ナイスだな、それ!!!」 「うんうん、それ最っ高だね!!!前々から気にはなってたんだけど、木葉と二人でお家で星が見られるなんて最高じゃん!!そうと決まったら早速買いに行かなきゃ!!ありがとう、犬養くん!!!二人ともついてきてー!!」 それだけ捲し立てるように言った青葉さんが駆け出したので俺達も慌ててそれについていった。
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