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冷たく凍てつかせる風が、そよそよと流れていた。
その風に煽られて、そこには淡雪のような真っ白い花弁が空を舞う。
真っ白に地面を覆うその花畑に、一人の男が立ち尽くしていた。
空は暗く、星は一つもない。
本来なら空高く宙に浮かぶように聳えるその場所は、辺りに薄霧が漂い、花畑の先に見えるはずの景色は灰色の雲に閉ざされていた。
月の光だけが、薄霧の纏うこの場所を真上から照らす。
男と同じように立ち尽くす、漆黒の幹をした大木の下には根に守られるように泉がそっと水を湛えている。
大木はまるで涙を流すように、花の色と同じ真っ白な葉をそこに落とした。
男は泉の前で跪く。
正確には泉の中に眠る、美しい姫君に。
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