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甘ぁく、アマク
記憶と夢は、熟してゆく。
確かに痛くて、触れなかったのに。
見ることも、気配を感じるのも
辛すぎたはずなのに。
宝物みたい。
まだ近付けなくて、触れなくて。
そうっと、しておいたら
あの色で発酵しだした。
熟した香りが
うっかり、招き寄せる。
ここにあったのは
とても良いものだったという様に。
それだけのはずがない。
だけど、記憶と夢は甘くなるから。
年月を重ねて、青く“発酵”して
蒼く“発光”して
気付いた時には、骨まで抉ってた。
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