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--理沙ちゃんだけ、ずるいよ。
なにが。なにがずるいの?
そう聞いたのに、理奈ちゃんはただ悲しそうな顔で私を見つめるだけ。
理奈ちゃんの目から、涙が一粒落ちた。
一度落ちた涙は、まるで堰をきったようにポロポロと落ちる。
理奈ちゃん、どうして泣くの? なにか悲しいことがあったの?
--だって。だって、理沙ちゃんが……理沙ちゃんが、好きだから。
理奈ちゃんのものだった声は途中で、ノイズ混じりになり、男の人の声に変わった。
その声に合わせるように、理奈ちゃんの顔がぐにゃりと歪む。
徐々に輪郭がはっきりしていく顔を見て、急に息が出来なくなる。
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