第1章

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それが聞こえなくなったのは私が中学一年の時。 その辺の記憶は曖昧だけど、確か誰かに一度精密検査をと促されて、だいぶしぶっていた祖父が検査を受けたのがその頃。 中学時代の自転車は祖父に買って貰ったものだから、多分秋くらいだったと思う。 ある日付けていたブレスレットが前触れもなく外れた。 霊感とか予知とか、 不思議体験なんて全くない私は 少し不吉に感じただけで あまり気にしていなかった。 けれど、 帰宅した私に 母は潤んだ目で私に言った。 「じぃちゃん、癌やって。」 それから母の介護生活が始まった。 介護と行っても入院だったので洗濯や付き添いくらいだけど ほぼ一日おきに病院へ母は通った。 私はあまり行かなかった。 微妙な思春期やら、疲れてたりやら。 行ってもすることがなかったし、どぎまぎして何を話していいか分からないし、 今思えば何かしら理由を付けて避けていた。 しばらく行かない日が続くと母に「会いにきて」と言づてがあった。 そんな入院生活は1年程続いた。
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