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 あたしがサイバティックヴァイオリンさんに初めて会ったのは、たしか、夏がすぎて数か月が経ったころだった。  カレンダーの上ではとっくに冬と呼べるはずなのに寒気がモラトリアムに浸りすぎて、一向に腰を上げてないみたいな、不気味に生暖かい気候だった三週間のうちの、とある一日のことだ。  ゆめあり  †夢蟻†  あたしは、その季節のちょっと前、ある場所で、ゆめありと名乗っていた。ちょうどそのころに流行っていた、ソーシャルなんとかっていうたぐいのネット上のサイトでのことだ。  そのサイトはマイナーもマイナーで登録人数がふた桁しかいないんじゃないかと、うたがいたくなるぐらいに閑散としていた。まあ、アバターがほとんど有料だったし、そもそもデザイン自体あまりかわいくなかったせいもあるだろう。  いま、冷静にかんがえたら、なんでそんなところに登録したのか、ちょっとギモンに思う。ギモンに思うだけで、後悔はまったくしていないけど。  サイバティックヴァイオリンさんはそこに登録していた。
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