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ネットへの非接続状態。それは自己の社会的不参加を意味した。
ネットにつながらないというのが、なによりも生徒たちを不安にさせた。生まれたときからモバイルでネットに接続できる生徒たちにとってみれば、ネットは体の一部だった。
膨大なネットの情報がウェアラブルモバイルを通じて思考や体の状態までを評価しフィードバックされている状態が物心ついたころからの日常だった。
それがない。
不安になるのも無理なかった。
生徒たちは、船着き場から離れていく船を、置き去りにされた島流しの罪人のような目で見る。
「いいか――」
と間木田教諭は、覚悟を求めるかのように声を張り上げる。
「きみたちは自分で考え、自分で行動することに慣れていない。ネットに頼らず、みんなで力を合わせて、これからの三日間を乗り越えてくれたまえ。さ、テントの設営だ」
そうはいわれてもな……と加賀見雷司はつぶやく。
だれもが戸惑い、果たして教師の言うように乗り切れるのか、と疑問に思っていた。
☆
やるべきことは多かった。
なにしろサバイバル・キャンプなのだ。テントを設営し、飲料水や食べ物を用意しなくてはならない。貸し出されたリュックにはサバイバル用の道具が入っていたが、一切の食料はこの島で確保しなければならない。もたもたしていたら日が暮れる。
各自分担を決め、分担が決まったらそれぞれの仕事をどうやっていくかを決めて実行しなくてはならない。それなりに知識も必要だった。
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