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「お前の一族は先々代派だろ。勇者を褒めてたらいい顔しないんじゃねぇの」
「うふふ、こんな私を心配してくださるの?」
指摘されても、彼女は嬉しそうに笑って返すばかりだ。
ベルクは「うわ、やっちまった」とでも言いたげに目を逸らす。
「あー、ハイハイ。お前はそこの一族で一番強いもんな。心配するだけ無駄ってか」
それを褒め言葉と受け取ったのか、嬉しそうにマヤは大きく頷いた。
「ベルク様第一ですもの。他の者の指図は受けませんわ」
「…………。オレはお前の好意を利用してるかもしれねぇのに、よく笑ってられるな」
「魔王の妻になりたいという女がそんなことを一々気にしていては器の程が知れてしまいますから」
自信満々にそう言ってのけ、お茶目なウインクまで付けてみせる。
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