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橘唯哉は、学校から徒歩10分の場所にあるアパートの一室にいた。
1Kと狭い空間に最小限の家具しかない閑散としている部屋だった。
未だ降り続く雨は激しさを増し、雨粒が強い音を立てアパートの窓に当たる。
「ほら、タオル」
アパートの住人である友永辰暉にバスタオルを渡され軽く頭を下げた。
「もう少しで風呂溜まるから。早く拭け」
ずぶ濡れになった髪の毛を強引にバスタオルで拭かれ頭がグラグラと揺れる。
俺は、何故コイツのアパートに…
遡ること十数分前。
辰暉は、なかなか泣き止まない唯哉に困り果てると同時に悪化しそうな天候を見て学校から近い自分のアパートに連れて行くのが最善と考えたのだった。
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