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「脳腫瘍です。通常ならば手術で切除する事も可能ですが、純さんの腫瘍は手術が出来ない箇所にあるので……余命は長くて半年かと……」
高校二年の六月。
私は、突然余命宣告をされた。
長くて、半年。
今まで平凡な人生を歩んできた私が、絶望の淵に落とされた瞬間だった。
毎日泣いた。
目が腫れ上がるくらい、泣いた。
泣いても泣いても涙は流れて、涙って枯れないんだと知った。
どうして私がこんな目に遭わなきゃいけないの。
家族にも親友にも、八つ当たりする日々。
どうせ死ぬなら、もう自分で死んでしまおうか、なんて思う事もあった。
……気が付けば、笑えなくなっていた。
でも、それでも良いと思っていた。
どうせ、あと半年も経てば死ぬんだから。
そう本気で思っていたけれど。
その翌月の七月。
絶望しかないと思っていた私の人生が、一瞬で変わった。
……楓くんに、出会ったから。
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