第4章

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身体が浮いて 血の気が引く   「これで身体の相性が分かりますよ」 「いや、嫌だっ、いやぁ」 手に力が入らない 押し退けたいのに 嫌なのに 大きな身体が   大きな手が 俺に触れてくる 「やめっ、やめてェェェ」 俺の中に 異物が沈んで 目の前で 火花が散った 世界が バチバチと 真っ赤に染まっていく 息が、苦しくて 苦しくて 「どうしてだよ。感じろよ!木山さん、俺を感じてくれ」 「お客様。何の騒ぎ・・・・・・何やってんだ!!退けっ、おい、救急車呼んで、警察に通報しろ」 「携帯は、ポケット?お客様・・・・・・」 赤い世界が 闇に変わって 闇の中で 誰かが何度も 呼び掛けてくる もう、呼ばれたくない 大きな身体が 大きな手が 近付いて来て 怖いから 「・・・・・・痛い」 身体が痛くて 息をするのも辛い 「良かった。目が覚めたか?」 手が・・・・・・ 近付いてくる 「やめっ、触るな!触らないで」 嫌だ、怖い 怖くて 身体が震える 「瞭。大丈夫だから落ち着け、落ち着いてくれ」 息が・・・・・・苦しい 呼吸が 出来ない 「ゆっくり呼吸しろ。触らないから、頼む。呼吸してくれ」 「はっ、ぁ・・・・・・はっ、はあ」 「そうだ。焦るな、ゆっくりで良い・・・・・・お義父さん、看護士を呼んで来ます」 「・・・・・・済まない」 怖い 声が低くて 手が大きくて 怖い 「瞭・・・・・・父さんが分かるか?」    近付いて来る やめて 来ないで 「嫌っ、怖い」
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