戦友という名の同僚

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DJ 加藤さん 初めまして。いつも番組を楽しく拝聴しています。忌憚のない加藤さんのトーク、聞いていて胸がスカッとする夜もあれば、ぐさりと胸に突き刺さる夜もあります。 不躾で申し訳ありません。そんな加藤さんに聞いてもらいたいお話があります。初対面(?)なのにごめんなさい。私の恋バナです。 *─*─* 私は現在29歳、2年前まで都内で会社員をしていました。都内の大学を出て、入社して5年。3人の部下のリーダーとして職もいただいてました。事務職ではなく、総合職。バリバリに見えるこんな私にも思い人はいたりします。同期の大島さんです。 大島さん……普段は呼び捨てにしているので“大島”と書かせていただきますね、大島と知り合ったのは入社式直前でした。私は極度の緊張から寝不足で初出社、無事に敷地内の講堂に到着したものの、安心感から入口前で大あくび。そして目を擦り、そこでコンタクトレンズを落としてしまったのです。床に手をついて片目でレンズを探していると、どうしたの?、と声を掛けてくれ、一緒に探してくれたのが大島でした。コンタクトレンズを探してくれたお礼にランチに誘い、そこで意気投合。その後の研修や仮配属先でも一緒に仕事をする機会も多く、つらいことがあれば「がんばろうぜ」と励ましあい、課題を達成したときは「よくやったな」と称え合い、ともに戦友としてやってきました。異性の友情って本当に存在するんだなあ、と私もその頃は思っていました。 ところがある日。入社して3年目の冬でした。滅多に風邪を引かない私も向かいのデスクから飛んできたインフルエンザウィルスに負け、40度近い熱を出して会社を休みました。一人暮らしの私を心配して大島は私のマンションに看病に来てくれました。といっても食事はレトルトのお粥、分厚く剥かれたいびつなリンゴ。汗をかいた私のパジャマや下着まで洗濯してくれ……。そんな優しい大島に私は迂闊にも恋心を抱いてしまったのです。病気で弱っているときに優しくされたら誰でも恋に落ちますよね? でも私は大島に告白できずにいました。
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