第1章

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「もう淋しくなんかないわよ、 悠理くん。 きっと妹や弟だってすぐに――」 「あ、 それはいらない。 間に合ってるから」 「……は?」 「うん。 腹違いの弟や妹なら、 もう三、 四人はいると思うんだよね。 お父さまが会わせてくれないけど。 どうしてかな、 ぼく、 弟や妹をいじめたりしないのに。 可愛い赤ちゃんなら、 いっしょうけんめいお世話するんだ。 ……あ、 男の子がこんなこと言うの、 ヘンですか?」 「い、 いいえ……。 とても……良いことだと思うわよ。 で、 でも、 その――」 「あと、 お父さまには、 ぼくが知ってるだけで十人くらい恋人がいるけど、 気にしないでね。 大丈夫、 ぼくが見たなかじゃ、 あなたが一番若くてキレイだよ」  このへんで大抵の女は、 口から泡ふいてぶっ倒れそうな顔になるんだ。
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