恋の病は・・・Second Season~冬~

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花火を見上げる人々から歓声がわき起こる。 「先生……お願いだから来て……」 場違いな私は俯き、祈る様に両手で携帯を握りしめポロポロと涙を流す。 ―――すると、手の中で携帯が震えだした。 先生!? 慌ててメール画面を開く。 【今着いた!どこにいる?】 えっ?どこって…… 【中央広場のクリスマスツリーの下だけど…】 【中央広場!?今からそっち行く】 先生が来てくれた!嬉しい……先生に、先生に会えるんだっ! 一分、一秒でも早く会いたい! 苦しいくらいに胸が熱くなって、逸る気持ちが抑えきれない。 私は携帯を握りしめたまま、中央広場の入り口に向かって走り出した。 どこ!? 先生、どこにいるの!? 人々の隙間をすり抜け、先生が向かって来るであろう方向に視線を巡らせる。 「琴音っ!」 耳に届いた愛しい人の声。 彼の姿を捕らえた視界がぼやける。 「先生……センセっ!」 名を呼び、息を切らせ走って来た彼の胸に飛び込んだ。 「先生来てくれたっ!もう来てくれないかと思ってた!」 「はあ!?何だよそれ。遅れるかもとは言ったけど、遅れても来るに決まってんだろ。…それより、待ち合わせ場所のクリスマスツリーって、あのでっかい木の事だったのか?」 先生はツリーを指さし眉根を寄せる。 「え?そうだけど?」 「そうだけど?じゃない!俺はてっきり、道路沿いの入り口のツリーかと思って探したじゃねーか!」 「あ……そう言えば、どっちのツリーか言い忘れてた」 涙を手で拭い「へへへ」と笑う。 「ったく、おまえは。……お…おおっ!今見たか?ハート形の花火がいっぱい上がってたぞ!」 先生は視線を港に向けて夜空を仰いだ。
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