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飛んで行けるものなら飛んで行きたい。
今すぐに。
「おやすみなさい」
力なく呟いて、通信を切った。
プツリと途切れる瞬間に、伏し目になった鳴沢の、ため息を聞いた。
どうして……。
どうして愛し合っているのにこんなに辛いんだろう。
寂しいんだろう。
信じているのに、なんて孤独なんだろう。
またポロポロと零してしまった涙を見られただろうか。
せめて、この涙を見られていませんように。
泣き虫だと、心配をかけませんように。
翌日、泣きはらした日和の憔悴はあからさまで、ベル仲間はいったいどうしたのだと騒ぎ、事情を知っている親友の巴はなぜだか一緒に涙ぐんでいた。
ベルチーフからは休んでもいいと言われたけれど、こんな日に一人でいるのは返って辛く、体を動かしていた方が楽だと言い張った。
しばらく風邪で休んでいた北村も、今日はフロントにいる。
いつものように何も言わず「おはよう」と声をかけ、頭をポンっと撫でてくれた。
それだけで力が湧いてくる。
いつも以上に華やいだロビー。
試食会に訪れるカップル達。
途中、バンケットのヘルプに入り、何も考えずにひたすら手脚を動かした。
疲れたと、思う暇もなかった。
チェックインの始まる時間になり、宿泊客がポツポツと訪れ始めた頃に、北村から突然「もう帰りなさい」と言われた。
「今日は忙しいので二一時までシフトを組んでます」
「倒れそうな顔をしているよ?」
「え?」
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