第一章

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神暦8597年。白暦10年。 白の賢者レオンハルトが、魔物の進化体を世界から追い払い、人の世に平和をもたらしてから十年である。 オーディ王国の王都72区にある工場は、今日も鉄を叩く金槌の音が、賑やかなリズムを一帯に響かせている。 キーン! カーン! キンッ!カンッ! 僕は白暦元年に産まれ、一歳年上の兄と三歳年上の姉がいる。 31歳の両親は、72区の工場を経営しており、多くの従業員を抱えている会社の代表である。 しかし、多忙であるとは言えない。 毎日、家にいるし、三食共家族みんなで食べる時間もある。 毎日、姉と兄が学校から帰ると、父親に勉強を教えて貰っている。 僕もだ。 将来、研究者を目指してる二人はいいが、僕は興味が無い。 父親が喜ぶので、勉強には付き合っているが、特別面白いとは思っていない。 ライ・フレンドバーグ・ホージョ。 変わった姓の為、母親似の僕でも、直ぐに父親が誰だか見抜かれる。 『あぁ、発明家の…』 『おぉ。天才のご子息か』 『リュースケの子供か』 と、学園登校初日から変な期待をされ、魔法構造学で生徒が答えられなければ、僕が当てられる。 解ける問題ならいいが、僕はそれほど興味が無いのだ。
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