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まずは一匹。
手っ取り早く、スタート地点で横にいた猪を縛り上げた。これでアイツは辿り着けない。
知恵を働かせられるのは、我々猿の最大の武器。
この調子で、前後を走る者たちを一匹ずつ蹴落としていけば、最終的に我々猿が勝利する。
そう考えながら、着実に歩を進めていくと、ある坂道の途中で奇妙な男が立っていた。
日本一と書かれた旗を持つ男だった。
しかも、その男の横には、先を進んでいたはずの犬がいるではないか。
警戒しながらも、横を通り過ぎようとしたときだった。
「そこのお猿さん、ちょっと待ってはくれないか?」
声をかけられ立ち止まると、その男は懐から笹袋を取り出してきた。
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