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《2.鬼ヶ島レース》
猿は、スタート地点で周囲の様子を冷静に窺った。
十数匹の神獣たちが、開始の合図を待っている。
そして、その時は訪れた。
合図と同時に、一匹の虎が勢いよく飛び出していく。
長い尻尾をなびかせながら、あっという間にその姿は見えなくなった。
アイツが勝ったら最悪だ。より自分たちの立場が危うくなるだろう。
だが、そんな心配はしていなかった。房総半島までの道のりは長い。
あんな走り方をしていては、やがて失速するのは目に見えている。
それよりも、大事なのは二つ。
まず、ペースを変えることなく確実に進むこと...
それともう一つ...
他の神獣を蹴落とすこと...
これに限る。
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