猿田一族の宿命

6/14
168人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
    《2.鬼ヶ島レース》 猿は、スタート地点で周囲の様子を冷静に窺った。 十数匹の神獣たちが、開始の合図を待っている。 そして、その時は訪れた。 合図と同時に、一匹の虎が勢いよく飛び出していく。 長い尻尾をなびかせながら、あっという間にその姿は見えなくなった。 アイツが勝ったら最悪だ。より自分たちの立場が危うくなるだろう。 だが、そんな心配はしていなかった。房総半島までの道のりは長い。 あんな走り方をしていては、やがて失速するのは目に見えている。 それよりも、大事なのは二つ。 まず、ペースを変えることなく確実に進むこと... それともう一つ... 他の神獣を蹴落とすこと... これに限る。 .
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!