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笹の葉を丁寧に剥がすと、何やら団子を差し出された。
これを食べて、一緒に鬼ヶ島へ鬼退治についてきて欲しいと言うのだ。
名は、桃太郎というらしい。正直、呆れてものが言えなかった。
人間ごときが、神獣界の最高位である鬼を退治しに行くなど、蟻が象を倒しに行くのと同じくらい無謀なこと。
人間とて同じ動物。いくら武器を持とうが、その力の差は歴然だった。こんな人間は、相手にするだけ時間の無駄。例え目的地は同じでも、目的は全くの別...
さっさと無視して、先を急ごうとしたのだが、桃太郎の言葉巧みな提案に、気がつけば足を止めたままになっていた。
勿論、吉備団子につられた訳ではない。鬼退治に賛同した訳でもない。
注目したのは、その交通手段だった。
人間が造り出した海を渡る道具...
船に乗って、太平洋の上昇海流を利用し、一気に房総半島へと向かうつもりだというのだ。
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