第三話 記の旋律

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「やめて!!お願い!!お願いだから!!」 ついに私の口から懇願の言葉が漏れ、それに男は嬉しそうに瞳を揺らす。 「お前の《お願い》は、いつも《俺達》にとって《命令》だったな」 男は遠い昔を思い出す様に少し遠くを見つめたまま笑った。 その笑みはどこか儚く、消えてしまいそうな弱々しい笑み。 その笑みから目を離せないまま、ドクドクと壊れそうな程に鼓動を速めている心臓の音が頭に響く。 それはまるで私に何かを必死に訴えている様に感じた。 「……貴方……誰なの?」 震える私の問い掛けに男の顔から笑みが消える。 「さぁ……誰だったかな」 そう言って男が首を傾げ自嘲気味に笑ったその瞬間、どこからか軽やかなメロディーが流れて来た。
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