第1章 新人はタイヘンです

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だけど、人に当たられることよりも、 自分のミスで大変な事態を招くとなかなか浮上できない。 「――小泉。 昨日常連の田中さんに新製品のクリームすすめた?」 深刻な表情でそう尋ねて来た主任に、ドキンと心臓が嫌な音を立てた。 「あ、はい。 オススメしました。サンプルもお渡しして」 ただならぬ雰囲気にドキドキしながらそう返すと、主任は小さく息をついた。 「小泉、ちゃんとカルテ見てね」 とお客様カルテを差し出した。 「は、はい?」 カルテを確認すると、 『※某成分が肌にまったく合わず、腫れてしまうことがあるので、某成分配合商品はオススメしないで下さい』 と書かれていた。
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