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夜が訪れることが怖くて怖くて仕方なかった。
あんなに優しくて、穏やかなオーラを持っていた祖母が怖かった。
禍々しい祖母と顔を合わせたくなかった。
環は夜、遊び歩くようになった。
それが環の傷になり、ずっと苦しめることになるとは思いもしなかった。
その日の夜も、環は友達と遊んでいた。
遊んでいると言っても、仲の良い友達数人とただ喋っているというのが、いつものこと。
「そろそろ帰る。」
祖母が寝静まり、両親が帰宅する前に帰ることにはしていた。
環が家に入ろうとすると、直ぐに異変を感じる。
玄関の鍵が掛かってなかった。
「…おばあちゃん?」
恐る恐る祖母の部屋のドアを開けて中を覗くと、祖母の姿は見えない。
家中の電気を点けて回る。
一階にある祖母の部屋、父母の部屋、居間、台所、二階にある自室や物置まで探すがやはり祖母はいない。
(どうしよう?…おばあちゃんがいない…何処にいったの?)
庭もくまなく見るがいない。
祖母がいつも履いていた草履も見当たらなかった。
(どうしよう?…どうしよう?
もうあたしひとりじゃどうしようも出来ない。)
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