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「Dear……亮?」 Rとyだけがやたら目について、みのりはつい思ったままを口に出していた。 高校の頃、それこそ付き合う前から、ノートや手帳の片隅に悪戯に何度も書いては1人にやけて、誰にも見つからないようにこっそり消した文字だ。 付き合っている間も手紙を書く機会などほとんどなかったが、誕生日やクリスマスのプレゼントにカードを付けた時には自分もそう書いた気がする。 『Dear Ryo』と。 「は? ……って、Ryuだろこれ、よく見ろよ」 みのりが手にしているものを後ろから覗きこんできた亮が訂正する。 肩口に顔が近付いて、声が耳元で響いた。 どくんと心臓が鳴って、咄嗟に身体をかわせば怪訝そうな顔をされた。 「りゅう? ――それ、きっと父だわ。隆司と言うの」 不安げに少し離れて様子を窺っていた玲奈が言った。 「何が入ってた……?」 みのりが祭壇の白布の向こうに見た四角い缶の話をすると、玲奈はそんなものは知らないと言った。 そして今、階下から引き上げてきたその缶を開けたところだ。 玲奈は開ける勇気がないと言い、みのりがその役を頼まれた。
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