第二話 時空神クロノスの蔵

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 鳥の声と共に目覚めた次の日の朝。俺は、自分から起きられたことの嬉しさからか、朝の散歩に出かけることにした。いや、出かけようと思ったのは、本当は別の理由だったのかもしれない。昨日家に戻った後、俺は母と少し会話をしたが、やはり昨日の朝の出来事は俺の記憶とは全く違うものだったのだ。しかし、あの林道での出来事はあまりにも生々しかったため、もう一度その現場をこの目で確認したいと思ったのだ。  あの時大破したはずの自転車が、なぜか無傷で自宅の玄関前に置いてあったが、気味が悪くて乗っていく気分にはならない。徒歩では少し時間がかかるが、まだ登校までは2時間近くもある。何とか間に合うだろう。  しかし、どんなに思い返しても、昨日はおかしいことの連続だった。みんなも、何かを隠しているという様子ではなさそうだったし、足の痛みも嘘のように消えていた。  だからこそ、直接現場へ趣き、俺はどうしても確認したいことがあったのだ。とにかく今は、何も考えるのはよそう。現場に着いて、直接確認すれば、すべて分かることだ。そう自分に言い聞かせ、俺は、ただただ歩き続けた。  坂道に差し掛かると、珍しく、犬の散歩をしている同校の生徒がいるのが見えた。彼女は、散歩の帰りなのか、俺とは逆に、坂道を下ってくる。まだ春の早朝で肌寒い季節。彼女は、ピンクのロングコートと白い毛糸のマフラーを身につけていた。背丈は150cmほどだろうか。同じクラスの蒼井楓花(あおいふうか)だ。
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