理想的なRatio.06

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  「…って、やばい!もう戻んないと5分経ってる!」 周りの景色にのんびり視線を巡らせていれば、5分なんてあっという間だった。 時間を確認して、慌てて踵を返す。 表示された時刻は、すでに結婚したい男No.1と別れてから5分ちょっと経ってしまっていた。 ぼーっと歩いていたせいで離れた距離も結構なもの。 「えっ!しかもこんなときに電話…!」 ちょっと遅れる、とインスタントメッセージでも送ろうかと小走りしながらカバンから携帯を取り出すと、絶妙すぎるタイミングで鳴る着信音。 画面には" 会社(デザイン部) "の表示… (なぜ今?!出るべきか、出ざるべきか…!) 「あ、あれ?え?うわッ!」 「ッきゃ、あぶな…っ」 ぐら、と傾むく視界の中、いつだったかこの道で初めて結婚したい男No.1と出会した時と同じく、また教訓を得た。 携帯の画面を眺めているとき、思ったよりも視界は狭くなっている。 そしてそんな状態で道を走るのは、とっても危険、だ。 「ご、ごめんなさっ……え?」 『こちらこそ、俺もぼーっと歩いてたから』 ドンッ、と強い衝撃に、この言葉とこの展開。 目の前には、 『あ、これ落としましたよ、パスケース』 若手人気俳優――…高橋祐也。 07へ
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