繋がる気持ち

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 踏ん切りの意味は、そういうのとは違うのだと判っていた。先生が躊躇ったのは、私が生徒だったことと、1年以上も会いに行かなかったこと。そして、先輩との事を知っていたからだ。そう思うと、胸が痛い。あの頃私が逃げたりしないでちゃんと先生と会ってたら、私と先生の関係はどうなっていたんだろう。夏帆と話しながら、もう私と先生の関係を黙ったままなのは限界なのを実感する。 「夏帆、あの……ね。引かないで聞いてくれる?」 「うん?」 「あのね、先生……なの」 「え?」  聞き返してきた夏帆に、意を決してもう一度。 「私が会ってる人、高校の頃に一番仲が良かった、先生なの」 「……担任の先生かなんか?」 「ううん、担任でもなくて、授業も受けたこと無いんだけど、毎日放課後に会いに行ってて、凄く仲が良かった先生」  夏帆の表情は、それ微妙と告げていた。 「もっかい、昨夜の話聞かせて」  昨夜先生に言われたことをもう一度、今度は尋問のように聞かれた。 「連絡くれたの彼なんだよね?」 「うん」 「翠、ちゃんと確かめた方いいよ。だって、殆ど告られてるじゃん。昔踏ん切りつかなかったなんて、その辺の同級生に言われるのと教師に言われるのは重さが全然違うじゃない」  夏帆の声は、凛として真っ直ぐだった。 「もう教師と生徒じゃないんだから、彼が今翠の事どう思ってるのかちゃんと確認したほうがいいよ」  翠は、彼のこと好きなんでしょ?と夏帆の声が、耳に響いた。
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