Teardrops on the snow

　古いアルバムをめくる。

　記憶を失ってからは何度もアルバムに目を通してきたけれど、どうやらこのアルバムは奥の方にしまってあったらしい。

　埃を被った表紙には大きく金色の文字で”Memories”と記されていた。

　正に僕の求めているものだ。

　パラパラとページをめくってみる。どうやら高校時代の写真らしい。

　ゆったりめの洋楽を流し、温かいコーヒーを淹れて窓際まで移動する。

　窓の外に目をやると、ちょうど空から真っ白な雪のひとひらが降りてくるところだった。

「……初雪」

　窓際に置いてあるお気に入りのロッキングチェアーに腰を下ろすと、すぐ側のテーブルにコーヒーを置いて、僕はアルバムをめくり始めた。

　写真の中の高校生の僕の周りにはいつも同じ四人の顔ぶれがあって、とても楽しそうに笑顔を浮かべていた。

　当時の僕はそれなりにやんちゃな子供だったようだ。別のアルバムにもあったが、みんなでサプライズをしかけて人を驚かせるのが好きだったらしい。