Teardrops on the snow

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 半分ほどめくったところで、女の子が一緒に写っている写真が増えてきたことに気がつく。  これは修学旅行のときの写真だろうか。降り積もった雪の上に立って、いつものメンバーの他に数人の女子が加わっている。写真の中の僕はピースサインこそしているものの、顔を赤く火照らせてカメラとは別の方向を向いていた。  目線の先を辿ってみると一人の少女に行き当たる。  長い黒髪をハーフアップにして、こちらもまた寒そうに微笑んでいた。  その後もその少女は度々写真に登場するようになり、彼女と一緒に写っているときの僕は必ず顔を赤くさせて彼女の方を見つめていた。 「……誰だろう、この子」  思い出そうとしてみても、記憶は閉ざされたまま。  どうしても気になった僕は、記憶を失う前から懇意にしている友人の一人、杉下宏樹に電話を掛けることにした。 「……はい、杉下」  電話はすぐに繋がった。
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