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羽島さんは笑っていた。
私は怒った顔を作っていたけれど、心の中は嬉しさでいっぱいだった。
羽島さんは、今どのくらいの数値なんだろう。
50もまだいってないのかもしれない。
いつか100になってくれるかな。
私と肩を並べてくれるかな。
その時私はもっともっと増えているだろうけど。
説明が下手だと言われた好きの数値の話を頭の中で巡らせながら、私は幸せな気持ちに浸っていた。
雨音も、私達が少しずつ距離を縮めていくさまを、祝福してくれている音に聞こえた。
純粋だったってことは、単純だったってことだ。
あの頃の私は、“好き”が原動力だった。
その力で無敵になれていた。
大人になってから、それが足かせになるなんて思ってもいなかった。
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