≪現在≫

33/40
5642人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
見ると、酔い以上に頬が赤くなっている。 今にも鼻血を吹きそうな表情だ。 「大丈夫ですか? 小宮さん」 「うん、だ、大丈夫」 小宮さんは私にそう言いながら、体勢を立て直す。 そして、小声かつ見事な早口で、 「その部分、絶対に口付けないで死守しててください。そんで、あとで私にひと口ください」 と耳打ちしてきた。 南条さんが私のお酒を飲むところを、しっかり視界に入れていたようだ。 「……」 小宮さんは、なんかいろいろと間違っている。 「忘れられないってことは、結局フラれたんすか? その高校の時の彼女」 あちらの話題は続いていたみたいだ。 古賀さんが、しつこくも羽島さんに絡んでいる。 「フラれた」 「え~、その子、どんな子だったんすか? 同級生?」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!