≪現在≫

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「あー! 戻ってきた。お酒もうきてますよ」 「あれ? 小宮さんは?」 空いた席を見て古賀さんに聞くと、 「トイレに来ませんでしたか? 3人になった途端ソワソワしだして、トイレ行ってきます! って敬礼して向かいましたけど」 とのこと。 「……」 ……多分、南条さんと古賀さん3人になって、ムダに緊張して逃げたんだな、小宮さん。 そう予想する一方で、あれ? もしかして……、と急に不安になる。 「あ、来た来た」 古賀さんの声に振り返ると、ちょうど話題の彼女、小宮さんが戻ってきた。 私の隣の席についたのを見て、 「小宮さん、どちらにいたんですか?」 と、こそっと聞いてみると、彼女はあからさまにひきつった笑顔で、 「え? あ、ちょっとね。外の風にあたりながら、ケータイでやりかけの乙女ゲーを、ハハハ、ハハ」 と言った。 視線を合わせず、口笛を吹くような顔をしている彼女の頬には、“見てしまいました”と書かれているかのようだ。
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