≪現在≫

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「カッチンは?」 「遅れるって。おみくじでも引いてて、だと」 実家近くの小さな神社の鳥居の横で、ニット帽をかぶったヤゴが白い息を吐く。 大きな神社とは違って、元旦の昼過ぎなのに人はそれほど多くない。 「ていうか、なんでクリスマスに集まったばっかりなのに、元旦早々召集かけるわけ?」 「どうせ、ヒマだろ。カナは」 「……」 ちょっとムッとして、ヤゴを睨むと、 「ウソだよ。クリスマスに飲んだ時、お前がなんか元気なかったから、カチ子がまた集まろうって声かけてきたんだよ」 と返される。 「……なにそれ。気のせいだし。元気だよ、私」 「元気じゃなさそう、特に頭が」 そう言って、自分がかぶっていた帽子を私にかぶしてくれたヤゴ。 「ホント、いつ見ても寒そうだな」 と言って、ブハッと笑った。
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