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あの日の失恋は、未遂だった。
そしてまた、それを繰り返そうとしていた。
その時その時で向き合ってあげられなかった自分は、いつまでも心の隅で気付いてもらえるのを待っている。
声を出せる日を待っている。
多分、そこから目を逸らして逃げている間は、全てが未遂なんだろう。
どんなにかさぶたを剥がしたくなくても、面倒な傷付き方をしたくなくても、うまくいっても、うまくいかなくても、自己完結は完結じゃない。
後悔する自信があるのなら、口を開くべきだった。
手を伸ばすべきだった。
「泊まる?」
「いいけど……」
「なに?」
「ごめん……。今日、生理」
「………………あぁ、うん」
「間があったね」
「……いや。高校のときからつくづくタイミングの悪い女だな、と。イテッ。痛ぇって!」
大人になんて、なりきれない。
でも、逃げる弱さを、もう若さのせいにもできない。
変わりたいと思う。
それなら、変わるために、変える努力をしないといけないんだ。
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